— PET アートとの出会い —

私は灯油窯を使い作陶もやっています。

陶芸では焼成の過程が大事なので、ひとたび窯に火を入れると10時間はそばで構えます。  絶えず温度の加減を見て、調節しなければなりません。  長丁場ですから、夏には日中の暑さを見越して、日の出前に火入れを始めます。

昼に差し掛かる頃となると、窯の温度は1000度にも上り、滝のように汗をかくため、飲み干したペットボトルがもう山ほど残ります。  そんなとき手遊びに、空のボトルを落ちていた竹の棒に刺し、煙突から噴き出る熱気にさらしてみると、思いがけない形に膨らんだり縮んだりするではありませんか。  だんだんに面白くなって、何度も熱に近づけては離し、竹の筒を操ってくるくる回す速度を変えよう、今度はちょっと角度に違いを出してみようかと、いろいろ試すようになりました。

それが、PET(ポリエチレン テレフタレート)アートとの出会いです。  試行錯誤を経て、バーナーを使えば更に細かい加工表現ができること、着色し本金箔をあしらえば一つの作品になることも、やがて分かってきました。  これからも変化してゆく、PETアートだと思います。

奥村克美




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