もう今年は梅雨は来ないんじゃないの? などと高をくくって、湿度のすこぶる高い曇天のなか自転車で出勤すると、平文に着いた途端にぱらぱらと小雨が降り出し、午後に入るとかなり強い雨脚となって、帰りがいささか心配な、アルバイトの池田です。
蒔絵とは辞書的な定義に準じると、おおよそ「接着剤ともなる漆をつかって文様を描いたあと、金や銀の粉を蒔きつける日本古来の表現技法」といったところになるでしょうか。《再器》をはじめとして、平文で扱う作品にも多用されている技法です。
本日は金箔を蒔くオーソドックスな技法と、「金泥」といって、いわば金粉のペーストを筆で塗布する方法の、主に二種類を実践いたしました。いずれの方法においても今回は接着剤兼定着剤として、クリアラッカーをつかっています。
梅雨時に、金を貼る。
06/26/2013 16:24:00
あいにく今週も水曜日は雨でした。なぜだか出勤するたび雨に見舞われる気もする、アルバイトの池田です。
先週は蒔絵についてちょっとした記事をお目にかけましたが、今週はこちらもまた伝統的な、截金(きりがね)の技法をご紹介します。
截金とは、金をはじめとした箔を切り出し、貼りつけることで文様を表現する技法です。
細く、くっきりと映える線にはエッジがきき、素材の金属らしい質感を引き立てます。
ここ京都の伝統産業のひとつにも指定され、仏具にも多用されるようです。
本日もオーナーの指導のもと、一から学びました。
yuh本来は金箔を筆にとって、膠や海藻(!)で接着するのですが、今回は初心者だということで、着色されたアルミの転写箔を用い、その固定にはクリアラッカーを使用しています。

先週ご紹介した、名前を呼ぶのも恥ずかしい《百目の涙、あるいはクラゲ》をキャンバスとしています。綺麗な筋となって流れている部分が截金にあたります。蒔絵の箇所とは、ほとんど異なった印象が出たかと思います。

ぼんやりしていた全体像も、截金の部分がうまくアクセントとなって引き締まったようです。なんだかクラゲ感が三割増し、というところでしょうか。
池田
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ネイルについて
07/10/2013 16:11:00
先日、講習の模様をお伝えした伝統技法、截金(きりがね)。
レクチャーの成果として、私がくどいほどに模様を施した再器をご紹介したのは記憶に新しいところですが、
そんなことはさておき、オーナー・奥村の作品の数々にも、この技法は多用されております。
今回はその一部として、ネイルのご紹介をば。

艶のある黒い下地が、截金を施した箇所の、エッジがきいた直線を格段に引き立て、それらの対比が非常に美しいです。
なんだか漆器をも思わせる趣があります。

貼り付けるというその作業の性質上、截金には特殊な、少し厚めの箔を使うわけですが、奥村の作品にはもちろん本金箔を用いております。
こちらの作品には朱を取り入れております。


本金箔の光沢は、視線の角度によっていかようにも変化してみせてくれます。
小刻みに自在に動き、それ自体にも表情を持つ部位、すなわち手のなかでも指先という最も目につきやすいところの、一風変わったアクセントになりそうです。シンプルですが、しかし雄弁です
本日はネイルのミニ講習とあいなったわけですが、最後に拙作をひっそりと載せておきます。

どこかの国旗のような色づかいになってしまいました。和の味わいとは程遠い…。箔の部分には、鈍い銀色のアルミ箔を使っております。
ちなみに、ご自身でネイルをなさる方に向けて、平文では専用の本金箔もご用意しております。
池田----
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「金継ぎ」と再器
07/17/2013 15:26:00
祇園祭も今日、いよいよ山鉾巡行ですね。
ところどころ晴れ間はのぞいているものの、どんよりした雲も空にたちこめていて、天気がちょっと心配でしたが、なんとか持ちこたえているようで一安心です。
本日は久々に新作の《再器》をご紹介します。

半光沢の黒い下地に、深みのある緑系の色味がゆるやかなグラデーションを持ちながら加わっております
。
緑青を思わせる感じもします。
表面はには上から下から斜めから、多方向より光があたり、熱加工によって生まれた凹凸をいっそう際立たせています。
色調、形状ともにマーブル模様といった印象を与えます。
曲線で金をあしらった部分は、奥村いわく「金継ぎ」をイメージしているのだとか。
金継ぎは、陶器の欠けたり割れたりした部分を漆で接着し、継ぎ目に金などを入れる、伝統ある修繕方法です。
《再器》はペットボトルを素材としていますから、その丈夫さがあって落としても欠けたり割れたりすることはまずありません。
よって、「継ぐ」こととは無縁でありそうですが、この力強い金のうねりが、わりあい渋めの全体的な印象のなか、煌びやかなアクセントとなっているといえるでしょう。
池田
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マイ・ステッキ
07/24/2013 14:50:00

こちらの杖、遠目に見ると何の変哲もないありふれた杖ですが、近づいて眺めてみますと…

握りに流麗な金の筋が伸びているではありませんか!
今日はごく最近、奥村が試作したというこの杖をご紹介いたしましょう。
もともと、奥村の御父上が晩年にたくさん残された市販の杖を、なんとか再生できないだろうかと考えたのが、このマイ杖づくりの出発点だといいます。
杖ではいちばん要だという握りの部分には奥村が得意とする技法がふんだんにちりばめられ、従来の金属製の柄はそのままに、すこぶる丈夫な構造となっております。
まず、木製の下地に黒をあしらい、さらにエポキシ樹脂を乗せて表面を処理。もはや当ブログではお馴染みとなったであろう「截金」(きりがね)の技法により、しゃっきりした金の線を走らせるのです。

握りのまえとうしろには《本金箔アート石鹸》製作の際に出た箔の端材を有効活用いたしまして、アクセントとなるような紋様を。最終加工として全体をUV硬化樹脂で覆って、泥なんかで汚れてしまう事態があったとしても十分に耐えうるようになっています。

↑《本金箔アート石鹸》。
シルクスクリーンの原理を応用し、自由自在に文様を表現できます。
最後、奥村にモデルを務めていただいて、使用の様子を掲げておきます。


たとえばお年寄りがますます増え、コンビニなんかもターゲットを若者から高齢者に移しているなんていう話を耳にしたりします。
そんな時勢、お好きな柄をあしらって、自分だけの杖を作ってみるのはどうでしょうか。少しよそ行きみたいな心持ちで気分も新たにマイステッキをお供にして、歩くこと自体が無上の愉しみとなれば、とても素敵だなと思います。
池田
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コースターのご紹介
07/31/2013 15:10:00
本日は平文でも目立つ場所にディスプレイしております、《箔をつかったコースター》をご紹介いたしましょう。
ネット上ではペットボトルを再生した《PETアート》や装飾品をご紹介することが多いので変わり種として目に映るかもしれませんが、このコースターにも奥村が得意とするところの本金箔をつかった表現技法が遺憾なく発揮されております。
表面はあまたの曲線が、何層にも重なって構成されています。実はこの曲線の一本一本は、和紙でできているのです。和紙を糸状に、ごく細く裁断したものをこんもりと絡み合わせ、何度かプレスをかけてこの薄さにするという工程を経ております。

↑ そうしてできあがったものの両面に箔を載せ、仕上がりです。
現在、本金箔のもの、プラチナ箔のものの二種類をご用意しております。
(画像1枚目が本金箔を、2枚目がプラチナ箔をつかっております)。

↑ 使わないときには、写真奥の木箱に仕舞って。贈り物にもふさわしいことでしょう。
繊維を樹脂で固めた不織布や、そうですね、たたみいわしの構造を想像いただくと、イメージもたやすいかもしれません。鈍い輝きは派手すぎず、ところどころの隙間が涼しげでもあります。すこし炙ったたたみいわしをお供とし、グラスの冷酒を一杯。夏の宵のちょっとした暑気払いの卓に、このコースターを用いてみるのも一興だと思います。
池田
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黄衣
08/03/2013 ?ブログサーバーに